こんにちは。
リブレクト代表の崔です。
今年も残すところあと半月になりましたが、都内ではここのところ、昨年と比較して師走感がだいぶ戻ってきた感があります。
ちらほらと忘年会の話しを聞くようになり、繁華街では忘年会のような集まりを見かけるようになりましたが、やはりまだまだ油断は出来ない状況ですので、密な空間での会食はなるべく自粛していかないといけませんね。
さて、
例年12月に発表される税制改正大綱ですが、先日来年度の税制改正大綱が発表されました。
その中身ですが、住宅購入世代にとっては近年では一番インパクトが大きい内容になったのではないでしょうか。
住宅ローン控除の控除率が、2022年度税制改正により「1%」から「0.7%」に縮小
昨年も住宅ローン減税については見直しの素案が出ておりましたが、現行の年末残高の1%から実際に支払った利息を上限とする案は、新型コロナウィルスの感染拡大による経済状況を鑑み、直前で大綱には盛り込まず延期になるという嬉しいサプライズがありました。
しかし、
今月に入ってから税制改正大綱の内容に関して事前に様々な報道が出ており、住宅ローン減税に関しては去年議論されていた「支払った利息が上限」から、「一律0.7%、且つ上限3,000万円」へと、都内で住宅を買われる方にとってはさらに厳しい内容となっておりましたので、今年も何とか延期にならないかと切に願っておりましたが、結果は無慈悲なものでした。
つい先日には住宅設備メーカーの国内最大手のリクシルが、ほぼ全ての製品を値上げ(最大4割)すると発表したばかりで、昨年から続く市場流通在庫の減少とウッドショック&半導体ショックによる不動産価格の高騰に今後ますます拍車がかかることが濃厚な中、住宅ローン減税の控除率が減るというのは、ショックを通り越して憤りを感じてしまいました。
兼ねてより住宅ローンの実行金利に対して「逆ザヤ」と言われていた住宅ローン減税なので、いずれ控除率の見直しが来ることは致し方ないと思う部分はありますが、『何も今じゃなくても・・・』という想いがありますね。
一部では、「0.7%でもまだ実行金利(0.4~0.6%台)よりは逆ザヤなので、支払金利を上限とするよりは良い」とする意見がありますが、今回の改正では年末残高の上限が3,000万円(一般新築住宅)に縮小されてしまったので、全然良くないです。ちっとも良くないですね。
というのは、私が普段ご案内している東京23区内においては、殆どの方が住宅を購入される際に4,000万円以上の住宅ローンを組まれます。
繰り上げ返済を行わなければ13年後の残高が4,000万円以上という方も珍しくありません。
今後同じ価格帯の不動産を買われる方にとっては、現行の13年間合計で最大480万円の減税が、最大273万円まで縮小されることとなりますので、影響が少ないわけはありません。
都内で4,000万円以上の住宅ローンを組まれる方は相応に課税所得も高く、現行の住宅ローン控除でも満額で受けられる方が多いため、将来のキャッシュフローをシミュレーションさせていただく際にも満額の控除を前提にお話しをさせていただくことも多かったのですが、今後は受けられるメリットが減りますので、よりライフプランシミュレーションの実施が重要となってきますね。
ちなみに、新たな税制は来年1月に法案が可決すれば、その後の4月から施行となりますが、住宅ローン減税に関しては暦年で考えますので、来年1月以降3月までに入居された場合でも、施行後の税制が年始に遡って適用されます。
既に売買契約を結ばれていて、今月中に物件の決済と引渡しが決まっている方は、適用年度が翌年以降にならないように、引渡してからすぐ(年内)に入居する必要がありますので、ご注意くださいませ。
住宅ローン減税(正確には住宅借入金等特別控除)には、ただ単に住宅を購入する方に対して金利を一部国が負担して買い求めやすくする目的もありますが、日本の基幹産業である不動産の流通を増やすことで経済を活性化させる、経済対策としての目的も兼ねていたはずです。
なので、このコロナ過で未だ経済状況が不安定な中、住宅ローン減税がマイナス方向に見直しされるということは、これから住宅の購入を検討される世代の方には大変厳しい税制改正になりますし、それは私どものように不動産業界で働く人達にとっても同じです。
今後住宅ローン減税の控除率が減る中、住宅供給会社としては企業努力をもってして一般消費者の方への影響を和らげたいところですが、上述したように市場流通在庫の減少とウッドショック等の影響、加えて住宅設備機器の価格上昇があり、企業努力だけではどうしようもないところまで来てしまってます。
来年は不動産業界にとっては気が抜けない一年になる予感しかしません。
今後の不動産市場がどのように動いていくのか、より注目して情報を発信していきたいと思います。
住宅ローン控除に関する詳しいご相談はこちらまでお気軽にお問い合わせくださいませ。