こんにちは。
リブレクト代表の崔です。
東京都内は先週頭に梅雨入りしたと思われるとのことで、平年よりは1日早いそうですが、ほぼ平年通りということですね。
先週末にはゴルフボールくらいの大きさの雹が関東近郊で降ったりもしてましたので、これからの季節は雨だけではなく雹や雷にもご注意ください。
さて、
最近の住宅関連のニュースの中で、「東京都で戸建て新築住宅に太陽光発電の設置義務化を検討」という
ワードを目にすることが増えました。
これ、なかなか衝撃的です。
直近2回のブログで触れた「電力消費」に関することと「不動産相場」に関することがダブルで関係することなので、今回はこのことに触れたいと思います。
まず、今回出ている太陽光発電の義務化は、東京都の環境確保条例の改正案の中に盛り込まれている内容になるのですが、現状は今月24日までにパブリックコメントを募集している段階で、まだ具体的に確定しているものは有りません。
検討内容の詳細は下記のリンクをご覧いただければと思います。
大まかな方向性としましては、これから東京都内で新築住宅を建てる場合、建築主個人ではなく一定の要件を満たす比較的規模の大きい建築事業者に対して設置を義務付ける方向で議論が進んでいるようです。
また、さすがに都内全域で新築される住宅全棟に義務化とはならないようで、日照や屋根面積等の地域特性も考慮しながら設置可能率を求めていく方向となっておりますので、発電効率が悪い地域や、そもそも屋根に太陽光パネルを乗せる面積が無いような狭小戸建てが建ち並ぶ地域については義務化とならない方向のようです。
脱炭素社会の実現に向けて、今後国内で長期的に電力需給が逼迫することが想定されている中で、再生可能エネルギーを増やしていく取り組み自体についてはとても良いことだと個人的に思いますが、実際に義務化が施行されるとすると、解決すべき問題は多いように思います。
その中でも私が一番気になる問題は、太陽光パネルの維持管理、メンテナンスに関することです。
太陽光パネルを設置した場合、設置費用は150万円とも300万円とも言われておりますが、一般的に太陽光パネルは設置から10~15年ほどで元が取れると言われております。
日中の発電による電気料金の節約分と、余った電気を買い取ってもらう売電分を足して、およそ上記くらいの期間で元手が取れると言われておりますが、これらの計算は殆どの場合メンテナンス費用を少なく見積もっているように思います。
高い発電量を維持するためには太陽光パネル本体やパワーコンバーターの定期的なメンテナンスが必要になりますが、それ以外にも設置方法や設置場所によっては屋根や周辺の樹木等のメンテナンスも必要になりますので、その辺りも考慮に入れて回収期間を考えると、元を取るのまでには設置から20~30年ほどかかるケースも有ると思われます。
また、台風や雷などの災害やゴミ・埃などの対策もしっかりと行っておかないといけません。
最も怖いのは、普段から目に見えるところにある物に関しては維持管理もし易いですが、屋根に設置することとなる太陽光パネルに関しては、何かあった時に異変を察知するまで時間が掛かってしまい、その間に雨漏りの状態が悪化してしまうということです。
ここ最近は不動産価格、特に建物新築価格の高騰を受けて、中古戸建てをご案内する機会が増えましたが、築20年くらい経過した中古戸建てとなると、半数以上の戸建てが過去に雨漏り被害を経験しております。
雨漏りが発生する原因の殆どは天窓やバルコニー、屋根、外壁の劣化によるものですが、普段目に見えているはずのバルコニーですら、まめにメンテナンスをしないことによって雨漏りの原因となってしまっている現状からすると、太陽光パネルを設置した場合に雨漏り被害が増えてしまうことは容易に想像できます。
もちろん、経験豊富な施工会社や職人によって防水処理をしっかりとした上で設置されるのであれば、定期的なメンテナンスさえ怠らなければそれほど心配は無いと思いますが、どうしても高額になる設置費用を少しでも抑えようとして費用面だけで施工会社を選んでしまったり、そもそも施工の技術差が素人目には判断しづらかったりと、適切な施工会社や職人を選ぶことも容易では無いと感じます。
今後もし太陽光パネルの設置を義務化とするならば、このあたりの現状も踏まえた上で、施工に関する技術レベルを一定以上に保てるような制度を作っていく必要があります。
施工に関すること以外にも、太陽光発電が増えた場合に電線等のインフラをどうするのか、太陽光パネルや蓄電設備の製造・維持管理・廃棄はどうするのか、天候によって左右される電力需給をどのように調整するのか等、義務化を施行する前に道筋を建てておかないといけない問題は山積みだと思います。
脱炭素社会の実現は地球規模の重要な課題となっており、私自身も不動産業に従事する身として住まいの流通を通じて脱炭素社会に貢献出来ることを考え、実行もしていきたいとは考えておりますが、太陽光発電の義務化に関しては、しっかりとした仕組みを作った上で2022年度中に成立させるということは難しいように感じますが、どうなんでしょうか。
今後の動向にも注目していきたいと思います。
当社では省エネ住宅や低炭素住宅の建築に関しても、土地のご案内から工務店、ハウスメーカー、設計事務所のご紹介、コーディネートまで、幅広いご相談を承っております。
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