こんにちは。
リブレクト代表の崔です。
先日、毎年恒例の今年の漢字が京都の清水寺で発表になりました。
今年の漢字は「密」ということで、やはり新型コロナウィルス関連の物になりましたね。
小池都知事が密集・密接・密閉の「三密」を避けましょうと連呼していたことがまだ記憶に新しいですが、そのおかげもあってか、最近はどこに出かけても“密集”を避けるために施設内の入場制限を行っていたり、“密接”を避けるためにソーシャルディスタンスを促していたり、“密閉”を避けるために出入口を開けて換気を行ったりしてますので、世の中全体で「密」を避ける意識が高まっていることを感じます。
今年一年はともかくこの「密」について徹底的に意識させられた年になりましたので、今年の漢字としては「密」が相応しい気がします。
さて、皆様もご自宅や職場において「三密」を避けるための対策を行っていらっしゃるかと思いますが、「密集」、「密接」に関しては良いとしても、「密閉」の対策に関しては今の時期やこれからの季節は辛くないですか?
「そりゃ寒いし辛いけど、感染してしまわない為には我慢するしかない」と思いながら、寒さを耐え凌いでいる方も少なくないと思います。
新型コロナウィルスの感染経路は主に飛沫感染、接触感染、空気感染(エアロゾル)とされておりますが、このうち空気感染については空気中に漂うエアロゾル(飛沫核)を室内から外に排出すること、即ち換気をして空気を入れ替えることでしか対策が取れないので、寒くても我慢するしか無いと思う部分もあります。
ですが、
これまで様々な住宅の売買に関わってきた経験からふと感じるのは、「三密」の中でも「密閉」を避ける対策に関しては、必ずしも全ての建物に当てはまらないのではないか?という疑問です。
現在、日本で建築されている建物、とりわけ居住用の建物に関しましては、平成15年7月の建築基準法改正以降、24時間換気の設置が義務付けられております。
住宅の場合、室内の空気の半分を1時間ごとに入れ替えられるよう、換気設備を設けることが義務付けられました。
上記法改正以降の建物をご覧いただくと、各居室ごとに換気口が設けられていることを確認することができると思います。
一般的な住宅の場合はほとんどが第三種換気システムを採用し、排気を強制的に行う換気扇がお風呂やトイレ、キッチン等に設置されており、それを常時稼働にしておくことで、各居室の換気口から吸い込まれた外気が室内を通り、換気扇から外に排出されるようになっております。
また、高気密高断熱住宅を謳っている建物には、第一種換気システムと言って、簡単に言いますと吸気と排気を機械により制御し熱交換器を利用して室内と室外の温度差を解消しながら換気してくれる換気設備を設けている住宅もあります。
なので、出入口や窓を全て開放していなくても換気設備により空気を入れ替えることができるように設計され建てられている建物の場合は、必ずしも寒さに耐えながら換気を行う必要が無かったりします。
それでも、扉や窓を開放することでより早く、多くの空気を入れ替えることができるのではないか?
と思われる方もいらっしゃると思いますが、
逆に、換気計画を立てて設計されている建物の場合、玄関や窓を開放することで、却って室内が換気されにくくなることもありますので、注意が必要です。
特に、建売分譲住宅で最も多く採用されている引き違い窓(左右にスライドして開く窓)に関しては、実は面積が大きい割には換気が得意な窓ではありませんので、開けていても換気効率は良くありません。
縦滑り窓を計画的に配置し、自然換気を促すように計算されて設計されている建物であれば、窓を開放することで素早く換気することができますので、開放することに意味はあると思いますが、
引き違い窓に関しては、大して換気がされない上に、開けていることによりせっかく機械で排出しようとした各居室の空気が、窓から入ってくる空気を先に排出してしまい、建物の奥の空気が滞留してしまうということに繋がってしまいます。
そうなると、せっかく寒さに耐えながら換気しているつもりなのに、室内の空気は一部で滞留してしまっているという、とても残念な結果になってしまいます。
では、上述のような残念な結果にしないためにはどのようにすれば良いのか?
ということですが、
これから建物を建てる方に関しましては、設計の段階で換気計画についてしっかりと確認し、また、計画に沿って換気ができるよう建物の気密性を高める(気密性が低いと途中で空気が漏れてしまいます)ことが重要です。
換気計画と気密性は住まいの快適性を高める上でもとても大切な要素でもありますので、この段階で対策されることが一番おすすめです。
既に出来上がった建物に住み始める方は、建物の換気計画がどうなっているのかをしっかりと確認し、ご不安であれば下記リンク動画のようなスモークテスターを利用して室内の換気状況を調べることで、空気が滞留するポイントを把握し、サーキュレーター等を利用して対策を行うことがおすすめです。
「三密」のうち“密閉”に対する対策として大切なのは、扉や窓などの開口部を開放することではなく、室内の空気を滞留させないこと、滞留しているポイントを把握し、効率よく換気を促す対策を実施することです。
出入口の扉や窓を開放し、自身が寒さを感じることで「(寒いけど)おそらく室内が換気されているから我慢!」と思わないことが、新型コロナウィルス感染予防としては大切かも知れませんね。
これからお住まいを探される方、新築される方の換気計画や高気密・高断熱住宅のご相談も、是非当社にお任せくださいませ。