こんにちは。
リブレクト代表の崔です。
最近は天気が良い日が続いていて、ますます朝が寒くなりましたね。
天気が良い日の方が曇りの日よりも朝寒くなるのには、「放射冷却」というものが関係しているということをご存じでしょうか?
私自身、住宅の断熱について詳しく調べている中でつい最近になり知ったのですが、この「熱」に関しては知れば知るほど生活に関わる様々なことへの疑問が解消されてきたりもして、科学ってすごいなと改めて感じてます。
さて、
今回は、先日発表されました2021年度の税制大綱に盛り込まれている住宅ローン減税に関する改正について触れてみたいと思います。
税制大綱とは、各省庁からあがる税制改正の要望などを受け、与党の税制調査会が中心となって翌年度以降の税制改正の方針をまとめたものです。
2021年税制大綱によりますと、来年度の住宅ローン減税に関する見直しは以下の通りです。
1.消費税増税時に設けた住宅ローン減税の期間を13年間とする入居期限を、2020年末から2022年末まで延長する。ただし、新築住宅は21年9月末までの契約、マンションや中古住宅は同11月末までに契約することを条件とする。
2.住宅ローン減税の対象となる建物面積要件を50㎡以上から40㎡以上まで拡充する。ただし、50㎡未満に関しては年収1000万円までの所得制限を設ける。
3.現行の住宅ローン減税の控除額を年末時点の住宅ローン残高の1%、またはその年に支払った利息の総額の少ない方とする見直しに関しては、2022年度以降に持ち越しとする。
今月頭の時点では3.の見直しも来年度から実施の方向で報道されておりましたので、住宅ローンを抱える多くの方にとって現行の制度より実質増税となる見直しが1年でも先延ばしになったことは若干の救いですね。
とはいえ、2022年度には同内容の見直しが実施される可能性がありますので、これから住宅ローンを組まれる方はそのことを見越した上で商品を選ばなければなりません。
現在既に住宅ローンを組まれている方にとっては痛手になりますので、見直しと併せて何らかの救済措置が加わってくれると良いのですが...
私のお客様の中には、住宅ローン借り入れ後10年目までは年間控除限度額の40万円(優良住宅は50万円)の控除を受ける想定でキャッシュフローを考えられていた方も多いため、今回の実質増税は切実です。
そこで、実際にはどれくらい住宅ローンを借りれば、10年後の年間支払利息が40万円を上回るのか、ちょっと気になったので簡単に計算してみました。
住宅ローンを変動金利で借りる方の一般的な実行金利は0.525~0.625%あたりになるかと思いますので、それぞれの金利で35年ローンを組む想定で計算してみますと、
金利0.525%の場合 → 1億200万円以上
金利0.625%の場合 → 8,530万円以上
という結果になりました。
住宅ローンをご夫婦どちらかが単独で借りて、10年間は繰り上げ返済を行わない場合の計算です。
上の結果から、金利0.525%で借りられる方の場合、1億200万円以上の借り入れを行わない限り現行制度の方が多くの減税を受けられることになります。
私がこれまで都内で500件以上の売買仲介に関わってきた中でも、ご夫婦どちらかが単独で1億200万円以上のお借り入れをされたケースは数件しか見たことがありません。
そうなると、やはり多くの方にとっては最低金利で住宅ローンを組むよりも、保証料を金利に上乗せにしたり、疾病付きの団体信用生命保険(通称:団信)に加入して金利を多く払う方がお得になる(というより、受けられる減税額が減らない)、ということになりそうです。
ちなみに、保証料を金利上乗せにして+0.2%と、さらに疾病付きの団信で+0.3%を0.525%に足してみて、1.025%の金利の場合で10年後の年間支払利息が40万円を下回らない借入額を計算してみましたところ、
金利1.025%の場合 → 5,110万円以上
という結果になりました。
金利が倍になると借入額の分岐点は半額になります。
ただし、5,110万円を金利1.025%で借りると10年後には残高が4,000万円を下回ってしまいますので、住宅ローン減税をめいっぱいまで受けたい場合の借入額は5,340万円以上となります。
以上のことから、ざっくりの計算ですが、5,000万円以上1億円以下の借り入れの方に関しましては、今後住宅ローンの組み方、ご提案の仕方によってキャッシュフローが100万円以上変わってくることもありますので、これまで以上に将来のキャッシュフローシミュレーションが重要になってきますね。
※現行の住宅ローン減税は消費税10%で建物を購入される方には13年間適用されますが、便宜上影響が少ないと思われる11年目からに関しましては省いて計算しております。
私も仲介会社の身としては、これからの銀行の金利動向や住宅ローン商品の動向も注視していかなければなりませんね。
当社では住宅ローンの最新動向につきましても日々情報を集めておりますので、住宅ローンのことや将来のライフプラン、ファイナンシャルプランニングに関しましても、是非お気軽にご相談くださいませ。