こんにちは。
リブレクト代表の崔です。
梅雨が明けてからというもの、連日暑い日が続いておりますね。
今日も都心の最高気温は34度を超え、いよいよ夏も本番を迎えた雰囲気があります。
一昨日から東京オリンピックの競技が始まり、今日には開会式が無事(?)行われるとのことで、メディアを通じて様々な情報が入ってはきておりますが、せっかく当選した観戦チケットも無効となってしまったり、東京に住んでいる私でも国際的なスポーツイベントが開催されているという実感が全く湧いてきません。
何年も前から楽しみにしていたイベントなだけに、こんな形で開催せざるを得ない状況にやるせない気持ちでいっぱいですが、オリンピックよりも新型コロナウィルスのマイナス影響を受けている方は大勢いらっしゃいますので、今はただただ少しでも早く新型コロナウィルスの感染拡大が終息するよう、自分でできる限りの感染防止対策に注力するしかないですね。
さて、今回は東京オリンピック後の不動産市況について少し触れてみたいと思います。
思い返せば、東京オリンピックの開催が決まったあたりから「今後の不動産の市況はどうなるか?」というテーマの話しを頻繁に聞くようになりました。
もちろん私自身が不動産業界にいるからということもあるのですが、メディア等でオリンピック開催による経済効果について話しをする際に、不動産の市況についても多く触れられてきた気がします。
ある方面では「海外の事例から見てもオリンピック開催都市の不動産市況は上昇する」という話しもあれば、「東京オリンピック開催年までは上昇し、その後下落する」という話しも聞かれましたが、今の時点を開催決定当初(2013年)と比較してみると、確かに不動産の価格は上昇しました。
敢えて統計データを用いず、23区内で居住用不動産の売買仲介を行ってきた経験から申しますと、2013年当初より現在の東京23区の土地値はおよそ3割から5割くらい(場所によっては7割くらい)は上昇し、建物価格はおよそ1割から2割ほど、マンション販売価格もおよそ3割から5割ほど上昇しました。
これだけ見ると、東京オリンピックの開催決定後に不動産価格が上昇したことは事実として間違いないのですが、そこにオリンピックの影響がどれくらい有ったか?ということが、今後オリンピック後の市況を読むうえで重要なポイントになりますので、どこまで行ってもその影響を正確に測るということは出来ないのですが、もう少し詳細を掘り下げてみます。
2008年のリーマンショック後、不動産の価格は下落し、2009年~2013年ごろまではバブル崩壊後の2番底を形成するほどに不動産の価格は下がりました。
一般的に土地やマンション市況の先行指標は日経平均株価と言われており、およそ日経平均株価の騰落から1年~2年遅れて不動産市況が動いてきますが、リーマンショック後に日経平均株価が底を打ったのが2011年の11月で、そこから株価は緩やかに上昇をし始めました。
この株価の上昇は東京オリンピック開催決定前からのため、オリンピック開催による経済効果を期待して上昇した訳ではないことは明白かと思います。
その後に株価の後を追うように不動産の価格が回復し始めたのが2013年になりますので、ちょうど東京オリンピックの開催が決定した時と重なりますが、その後日経平均株価も時間をかけてゆるやかに上昇し続けましたので、単に景気が回復したことで不動産価格が上昇したとも見て取れます。
さらに、この間には消費税の増税が2回に渡り実施され、増税の都度起こる駆け込み需要や税制優遇措置が不動産価格を押し上げたとも考えられます。
もともと東京オリンピックの開催によって期待できる経済効果の中で、不動産価格の上昇に寄与すると言われていたものには
・宿泊施設需要
・再開発などによるインフラ整備
・観光客の増加
・経済全体の好景気による不動産価値上昇
などがありました。
2020年の年初あたりまでは不動産の価格上昇の陰にこれらの影響も少なからずあったかと思いますが、新型コロナウィルスの蔓延という不測の事態により宿泊施設需要は激減し、観光客は減少の一途を辿ることとなりましたので、少なくとも1年以上前からはこれらによる不動産価格の上昇効果は薄れてると思われます。
しかし、新型コロナウィルスの影響で東京オリンピックが一年延期になっている間にも、様々な理由から住宅需要は増加し、都心の居住用不動産の価格は下がるどころか今でも緩やかに上昇しております。
不動産の先行指標である日経平均株価の方も、新型コロナウィルスの感染拡大後(第一波の後)に一時大幅に下落はしたものの、すぐに回復し今では感染拡大前の水準よりも更に上昇しておりますので、東京オリンピックが終わった後にも不動産の市況が更に上昇する可能性は十分にあると思います。
私の個人的な考えとしましては、先の不動産市況を予想するのは難しい、というか、ほぼ不可能ですので、不動産仲介の立場としてはあまりスタンスを取ることは望ましくないと考えておりますが、ここ最近は業界関係者の方やこれから不動産を買われようとされている方、売却されようとしている方から、「東京オリンピック後は不動産価格が下落する」という予想の声があまりにも多く聞こえてきますので、今回は敢えて少しだけこの話題に触れてみました。
居住用不動産の価格は経済指標や景況感等によっても動きますが、最も影響が大きいのは購買層の心理的な要因によるものだと言えますので、「東京オリンピック後に不動産価格が下落するからオリンピック後にマイホームを買おう」と考えている方が多くなればなるほど、オリンピック後の需要は増加し、むしろ不動産の価格は上昇する可能性もあります。
その点も考慮し、不動産の売買時期を検討される必要がありますね。
ということで、“東京オリンピック後の不動産市況”がどうなるか?について私自身が考える答えとしては、
・不動産価格はたしかに上昇しているけど、オリンピックの影響は不確かなので、オリンピック後も多くの方が言うように下落するとは限らない。
・先行指標の日経平均株価の推移を見ると、まだ不動産価格は上昇する可能性はある。
・東京オリンピック以外にも不動産価格に影響を与える要因は多岐に渡るため、予測は難しい。
・東京オリンピック後に不動産価格が下がると騒がれるほど、むしろ上がる可能性も高くなる。
以上、取り留めも無く書いてしまいましたが、何かの参考になれば幸いです。