こんにちは。
リブレクト代表の崔です。
ここ最近、新型コロナウィルスの新規感染者数が急激に減ってきているようで、徐々にではありますが終息に向かっている雰囲気を感じますね。
ワクチンの効果で無症状の感染者が増えていて、検査を受けないから新規感染者数が増えていないという説もありますので、まだしばらくは油断禁物ですが、これから少しずつ以前の生活が戻ってくれると良いですね。
さて、前回のブログ「秋の住まい探しについて」の中で、災害(台風)に備える住まいづくりについて少し触れましたが、つい先日東京では久しぶりに震度4を超える大きな地震がありました。
私は自宅におりましたので幸い何の被害も受けなかったのですが、自宅のリビングで揺れる建物を見ながら、改めて地震に耐える住まいの必要性を強く感じましたので、住まいと地震に関して皆様に知っておいていただきたいことをここに書かせていただきます。
市場に流通している建物の耐震性について
まず最初に言えることとしては、『現在流通している住宅の中には、今後想定される大地震に耐えられる設計になっていない物が多い』とういことです。
上記の『耐えられる』ということがどの水準のことかと言いますと、『震度7クラスの大地震が起きても壁や柱が傾かない』という水準です。
地震大国である日本においては、建築基準法によって建物が有すべき強度が定められており、1981年にはいわゆる『新耐震基準』と言われる基準に合わせて建物を建てなくてはならないというように法律が改正されました。
では、この『新耐震基準』というのはどれくらいの地震を想定して作られているかと言いますと、最も一般的で分かり易い気象庁の「震度」に置き換えますと、「震度7」相当の地震が発生した時に建物内にいる人の命が守られるということを基準に作られております。
ここで重要なのは、「震度7の地震の時に守られるのは人の命であって、建物ではない」ということです。
もちろん、人の命を守るためには建物が倒壊してはなりませんので、建物は倒壊しないということは前提になってますが、倒壊はしないまでも、大きく傾いてしまった建物はその後安心して住み続けることは出来ませんので、補修や建て直しが必要となってしまい、多くの費用が掛かります。
「新耐震基準を満たしただけの建物」は、「大地震が発生しても傾かない建物ではない」ということをまずはご承知おきください。
違法建築物件に注意
昨今建築された建物は、少なくともこの「新耐震基準」は満たした上で設計され建てられておりますが、1981年の「新耐震基準」施行以降の建物でも新耐震基準を満たしていない建物が多く存在しますので、中古の建物を購入される場合は注意が必要です。
1981年以降の建物で、設計の段階では新耐震基準を満たした建物として設計し、行政に建築確認までを取得している建物であっても、平成14年(2002年)以前に建てられた建物の場合、建物の中間検査、完了検査を受けておらず、設計時と別の建物(中には違法建築物も多い)になっているケースも多々あります。
また、平成19年(2007年)の法改正では、建物の構造計算がより具体的になっておりますので、中古の建物を購入される場合にはこの年代を一つの基準として見ていただくと、より安心してお住まいになれるかと思います。
耐震等級について
では、大地震が発生しても建物が傾かないようにするにはどのようにすれば良いか?という点ですが、
建物の地震対策には主に『耐震』・『制震』・『免震』がありますが、『耐震』については『耐震等級』という指標があります。
耐震等級とは、建物が地震の揺れに対してどれくらいの耐震性を備えているかの指標となりますが、耐震等級2は耐震等級1の1.25倍、耐震等級3は耐震等級1の1.5倍の入力に対して耐えられるものとされております。
今後起こり得るとされている首都直下型地震の想定震度は7程度とされておりますので、震度7の地震が発生しても建物が傾かない水準は、最低でも耐震等級2相当は必要と言われておりますので、これから地震に強い家を建てられる場合には、耐震等級2以上、できれば3を取得できる建物にされることをおススメいたします。
ただ、耐震等級と一言に表しても、『品確法』による耐震等級なのか、建築基準法の『許容応力度』による耐震等級なのかによっても強さが変わってきます。
前者よりも後者の方が同じ等級の場合の耐震性能は高いのですが、住宅メーカー各社が『耐震等級3』を謳う場合には『品確法』の耐震等級となっているケースが多いため、より地震に強い建物を建てられることをご希望の場合、この違いについても注目していただければと思います。
これから建てられる新築建物の場合は設計の段階で耐震等級を意識しながら建てられますが、既存の中古建物に関しては既に建っているため、なかなか対策をし難いように感じますが、既存の中古建物であっても耐震化工事を行うことができます。
現状の建物の調査と構造計算を基に、必要な個所に柱や壁を追加することで、既存住宅でも耐震性を高めることができますので、こちらも是非ご検討くださいませ。
耐震等級以外の注意ポイント
耐震等級が高ければ高いほど地震に対する耐力が増しますので、より安全な建物と言えますが、耐震等級を取得していない建物についてはどのように判断すれば良いのか?という点について記載しますと、
・上から見た時の建物の形がシンプルな建物は地震に対する耐力が高いと言えます。
理想は正方形に近い形ですが、全体の外壁線が長方形でも、建物内の壁や柱で正方形がいくつも作られているような間取りの場合は耐力があると言えます。
逆に、円形やコの字型、凹凸の形は、建物内に壁や柱が少ない場合は地震に対する耐力が弱いため、注意が必要です。
・断面もシンプルな四角形が理想
建物が直下階よりも跳ねだした、いわゆるオーバーハングしたものや、吹き抜けなどで床が少ない場合も地震に対する耐力が落ちてしまうため、設置する際には個別の個所ごとにしっかりと補強を行わないといけません。
・1階に大きなリビングや大空間を設置する場合も注意が必要。
建物は下の階に行くほど上の階の重さを支えるための柱や壁が必要になります。
下の階にはなるべく大きな空間を作らない方が、地震に対する耐力は強くなります。
・直下率を高める
上の階の柱や壁の真下に下の階の柱や壁がある比率を直下率と言いますが、同じ耐震性能を備えている建物でも直下率の多い少ないによって実際の耐力は変わってきます。
なるべく上下階の柱や壁の位置は合わせてあげることで、地震に強い家になりますので、その点にも注目してみてください。
最後に、
繰り返しになりますが、日本は地震が多い国です。
都市部に建つ高層ビルやマンションに関しては、耐震、免震、制震についてしっかりと対策をされているものも多く、地震に強い建物を建てる技術に関しては高い水準にあるものと思いますが、居住用の戸建て住宅に関しては思いのほか地震に対する耐力が弱い建物が多く存在しております。
その理由は、耐震性能が高い建物を建てるには高度な設計・施工技術が必要なことや、建築コストが掛かること、開口部が小さくなり柱や壁が増えるため狭小住宅では使い勝手が悪くなること、大地震は頻繁には起きないのであまり意識されてこなかったこと等、色々と考えられますが、今では過去の地震被害から学んで耐震・制震・免震の技術は向上し、普及してきましたので、一般的にも耐震性を選べる時代になりました。
これから住宅の購入をご検討の方々には、是非大きな地震が起きても安心して住める住まいを選んでいただきたいと切に思います。
当社では新築物件の売買仲介の他に、土地から建てる注文建築のご提案、中古建物のインスペクションのご紹介など、お客様が安心してお住まいになれる住まいをご提案させていただいております。
これから住まいを探される方は、是非一度お気軽にご相談くださいませ。